コンサルタントの視点
仮想デスクトップ導入の理想と現実、
そしてそのベストプラクティス

第一回

デスクトップ仮想化を実現するための、企画から設計、運用開始までのプロジェクトの実施手法について説明します。仮想デスクトップ導入の現場では、企画段階からカットオーバーまでの長い道程の中で、成功を阻む様々な障壁があります。そこで、まずプロジェクトの各段階での失敗例や陥りやすい罠を、具体的な事例を元に説明します。

仮想デスクトップ仮想導入の理想と現実

データセンター内にDelivery Controllerを導入して、ユーザー人数分の仮想PCを用意してVDA(Virtual Desktop Agent)をインストールすれば即デスクトップ仮想化を実現できるのでしょうか。答えはノーです。デスクトップへのニーズは、使用するユーザーとその業務により異なります。それを無視して仮想デスクトップ環境を構築しようとすると、必ずと言って良いほど失敗します。どのようなデスクトップ環境がユーザーから必要とされているか、現状の問題点は何か、仮想デスクトップに移行する上で何を期待しているか、また何がリスクとなり得るか、それらを見極め、適切にデザインすることが何よりも重要です。

陥りがちな失敗パターン「企画の現実」

無計画に構築した仮想デスクトップ環境は多くの場合、当初の理想とは遠く離れたものになってしまいます。何が原因でそのような結果になってしまうのか、そもそもなぜ無計画にスタートしてしまうのか、具体例を挙げて説明します。

①デスクトップ仮想化「企画」の現実

ケース1「短い期限」

状況

仮想デスクトップの全社導入(または部門導入)することを決めたものの具体的に何をしたら良いかわからない。従って、タスクボリュームが予測出来ない。さらに現在の使用状況を把握できていない。その状態でいつまでに実現するかを決めざるを得ない。この場合、必ずと言っていいほど実際に必要とされる期限よりも短い期限が提示されます。

結果

ユーザーが現在どのようにデスクトップを使用していて、どのようなニーズがあるか把握していないため、組織にとって本当に望ましい仮想デスクトップの方式が決められません。仮想デスクトップの導入のノウハウも無いため、仮想化により顕在化する問題を推測できません。期間が短いため、順序立てて方式の検討を行うこともできません。
組織にとって最適な構成を見極めることができないため、全てのユーザーニーズを満たし得るがオーバースペック且つオーバーコストな構成(図Aを参照。ユーザーカバー率のみを重視すると、一人あたりの導入コストは上がります。)か、または、全てのユーザーニーズを満たすことができない中途半端な構成を採用してしまいます(図Bを参照。導入コストのみに注視した場合、ユーザーカバー率は犠牲になり、不満足なユーザーに我慢を強いることになります。)。

図A

図B

ケース2「まずハードウェア構成」

状況

ハードウェア構成は物販コストの算出と予算取りや、調達スケジュールに直結するため、比較的早めに検討されます。この場合、精緻なサイジングは行われず、ユーザー数などから機械的に算出した数値に頼らざるを得ません。
また、ハードウェア構成決定の際、ベンダーからサイジング情報が提供され、全体の構成が描かれますが、ハードウェアの最新機能に過度の期待がかけられてしまうことが多くあります。ベンダーから提供されるサイジング情報は特定のテクノロジーを前提とした過去の事例にもとづいていることも多いです。仮想デスクトップに対する要件は各社様々であるためそのまま鵜呑みにすることはできません。

結果

かけたコストに反して、本当にユーザーニーズに合う構成とはかけ離れたサイジング前提となってしまいます。それにより予算超過した場合は、後から要件が発覚し、より付加価値のあるテクノロジーを採用するにしてもリソースの確保が困難になります。

ケース3「根拠なきプロジェクト予算」

状況

ユーザーの使用状況を把握できておらず、ゴールが不明確なまま全体の予算だけが先に決まってしまうケースです。ケース2とも関連しますが、ハードウェアを先に決めてしまって、それらの機器の総台数からインストール費用を算出した場合などが当てはまります。
仮想デスクトップ導入では導入対象範囲が広ければ広いほど、当初は予想もしなかったユーザー要件が噴出します。後から判明するユーザー要件は小手先で対応できないことも多いです。

結果

カバーし切れなかったユーザー要件に対し、後手に回り対応しなければならず、これは少なからずプロジェクトスケジュールに影響します。最悪の場合、導入対象範囲の縮小やカットオーバーの延期が必要になります。今回導入を見送った対象については、再度予算を確保し、プロジェクトを発足し、設計・サイジング・導入・構築・テストなど一連の作業を再度実施する必要があります。また、何とか想定内のコスト・スケジュール内で収めたとしても、無理にカットオーバーしてしまうとユーザーが不満を抱えたまま使用することになります。

Next: 第二回:陥りがちな失敗パターン「設計・構築の現実」

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