仮想デスクトップ導入の理想と現実、
そしてそのベストプラクティス
第八回:ベストプラクティス – 設計/構築段階
②基本・詳細設計/構築段階で実施すべきこと
「企画段階」で把握した現在の状態(As Is)、および達成すべき仮想デスクトップの姿(To be)
設計にあたり、デスクトップ仮想化は比較的新しいテクノロジーのため、机上のディスカッションだけではユーザー側が実際の動作をイメージしづらいこともあります。そのため、設計ワークショップにて有効な議論とならない可能性や、後工程での手戻りが発生するリスクを考慮する必要があります。そうなることを回避するため、このタイミングでPOC(Proof of Concept ※概念実証)用の環境を構築し、実機で試す手段を持ちながら設計を進めることを推奨します。
POC環境では以下の検証を実施します。従って、最低限それらの検証ができる最小限の構成を構築します。
-利用予定のテクノロジー
-実際のアプリケーション
-実際の周辺機器
-実際の業務
-実際のユーザー
検証結果を考慮し、各ハードウェアコンポーネントのサイジングを詰めます。
-
サーバー
仮想デスクトップだけではなく、サーバーOSも仮想OSで構築することが一般的です。提供形態別に仮想デスクトップに割り当てるVCPU数、メモリーの容量の総和と、1台の物理サーバー当たりの集約率(1台の物理サーバーに何台の仮想OSをのせるか)から、仮想デスクトップをホストする物理サーバー台数を算出します。Delivery Controllerなどのサーバーコンポーネントについては、ホワイトペーパーを参考に総ユーザー数による必要台数を算出します。メモリーはオーバーコミットしないように、サーバーコンポーネントについてはCPUもオーバーコミットしないように(VCPU数≒総コア数)算出します。
ハイパーバイザー用のリソースを確保することを忘れないでください。ハイパーバイザー用に必要なリソースは、各メーカーの指標を参考にして決定します。 -
ストレージ
仮想OSの容量、ユーザープロファイル/ユーザーデータの総容量(新規に導入するストレージに保存する場合)の総和から、必要なストレージ容量を算出します。容量だけではなく、IOPS(In/Out Per Seconds)についても注意して必要なパフォーマンスを見極めます。IOPSについても、ホワイトペーパーやネット上のKBを参考しますが、現在使用しているローカルPCの実データをサンプリングすることも有効です。 -
ネットワーク
ここでは、データセンター内のネットワークについて検討します。以下の点を考慮して必要なネットワーク機器を選定します。-仮想デスクトップ台数
組織の規模にもよりますが、データセンター内に数千台以上の仮想PCを配置する可能性もあります。その分のIP空間とそれらを収容するスイッチ、端末からのアクセスだけではなくアプリケーションサーバーやアクティブディレクトリーのドメインコントローラーなどバックグラウンドコンポーネントに対する経路にボトルネックが発生しないように注意します。-プール型VDI
Provisioning Services (PVS) を使用したプール型の構成です。数千台の仮想デスクトップ用ターゲットデバイスにOSをストリーム配信する可能性がありますが、これはネットワークを経由で行われます。-仮想OS用のストレージ
仮想OSを収容するストレージにNASを選定し、NFSやiSCSIなどのプロトコルで実装する場合、それ用のネットワーク機器が必要になります。ユニファイドストレージを採用し、仮想OS用ストレージだけでなく、ユーザーデータ、プロファイルも共通のストレージに収容する構成も一般的です。仮想OSのブートだけではなく、ファイルアクセスに対する必要なパフォーマンスも算出し、機器選定を実施します。 -
DR構成
DR構成(Disaster Recovery耐障害構成)を取る場合、DR発生の条件や通常時の動作方式に応じて多くのバリエーションが考えられますが、どのような構成をとるにしても余剰のハードウェアリソースが必要となります。通常時複数のデータセンターで稼働していたものが、いずれかの拠点が被災したことによって全てのユーザーのワークロードを他の残りのデータセンターでまかなう必要があるためです。DR時の縮退をどこまで許容可能かを判断して、余剰リソース分を見積り、最終的なハードウェアサイジングを決めます。各要件を元に、各製品技術のデザインを決めます。設定根拠を明確にし、パラメーターに落として行きます。
- サイト名、デスクトップカタログ、デスクトップグループの名前
- Citrix ポリシー
- パーソナライゼーション
(プロファイル、印刷の方式など)
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